『紫気東来-ビッグ・ナッシング』
“东来紫气满函关(Big Nothing)”
【アジア】
戴陳連(ダイ・チェンリエン)/Dai Chenlian (北京、中国)
怪談と幼き日々の思い出、夢と現実が交錯する影絵芝居 ユーモアと狂気、ナンセンスの先に拓けるのはー
幼少期の日常生活の想い出や中国・唐代(9世紀)の怪異記事集成『酉陽雑俎(ゆうようざっそ)』をもとに、個人的な記憶と怪談、夢と現実を交錯させた影絵芝居。
『酉陽雑俎』全30巻は、同時代に書かれた多くの書物と異なり、道徳的な教訓話ではなく、腕に口が生えてきて食事を要求する話、男が仏塔になってしまう話など、一見ナンセンスな話にあふれている。中国近代文学の父・魯迅はこれを愛読し、自らも、蛇の精が美しい女性に化ける話などを書き残している。戴陳連は幼い頃、紹興市で祖母と過ごしていた。その祖母が、同じく紹興市出身の魯迅と混じり合っていく。
戴陳連は手作りの影絵を操り、時にその世界の住人ともなる。そこではほのぼのとしたユーモアが時として不気味な狂気を帯び、ナンセンスが時として新たな意味を生じさせる。
演出・出演 | 陳連 (ダイ・チェンリエン) (北京│中国) |
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推薦人 | キム・ソンヒ (インディペンデントキュレーター/プロデューサー/元光州アジア芸術劇場芸術監督│韓国) |
推薦理由 | 「戴陳連は、自らの子どもの頃の記憶をもとに、失われた世界の再構築を試みている。その不完全でもろい宇宙は、影と現実、過去と現在、幽霊と人間のはざまに開かれる。時のなかに迷い込んだ戴陳連は、資本主義文化ではもはやたどり着くことのできない領域へ、つじつまの合わない旅へと私たちを誘う。時代遅れの表現を愛おしむ彼の舞台上の身振りが、ありえたかもしれないもう一つの現代の姿を描いていくのだ。」 |
Dai Chenlian
美術家、演出家。1982年、中国浙江省紹興市に生まれる。2004年に中央美術学院卒業後、2006年より創作活動を開始。物語、演技、音響、照明、舞台美術、そして身ぶりといった演劇を構成する要素を細かく分解し、作品制作のプロセスや思考の流れが観客にも伝わるような作品をつくってきた。空間構成、舞台美術、照明、収録音声、写真や映像、人形、詩の朗読、音楽などの多様な手法が組み込まれた作品には、彼が日々のニュースや人々との出会いの中で見つけた様々な物語が反映されている。変わりゆく社会の中で見落とされがちな市井の人々の感情や出来事を見つめ、生き延びるために失ったものや運命の変転を、創作を通じて描き続けている。他の代表作に『春の河、東へ流る IV』(2015年)、『海上の明月、潮と共に生ず』(2017年)、『秦を望む』(2019年)など。
https://daichenlian.weebly.com/
作品クレジット
演出・出演 | 戴陳連(ダイ・チェンリエン) |
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舞台美術・照明・音響プラン | 戴陳連(ダイ・チェンリエン) |
ドラマトゥルグ | 張淵(ジャン・ユエン)、キム・シヌ |
委託・プロデュース | 韓国国立現代美術館(ソウル)、ミン現代美術館(上海)、SPIELARTフェスティバル(ミュンヘン) |
滞在製作協力 | 由密(ヨウ・ミー) |
プロダクションマネージャー | キム・ソンヒ |
共同製作 | ソウルアートスペースMulla |
上演スケジュール
日時:11月2日 (土) 15:30 / 19:30
会場:東京芸術劇場 シアターイースト
※受付開始・開場は開演の40分前/字幕なし/上演時間:約60分 (休憩なし)
『ハウリング・ガールズ』
“The Howling Girls”
【オセアニア】
シドニー・チェンバー・オペラ/Sydney Chamber Opera (シドニー、オーストラリア)
トラウマを負う少女たちの、むき出しの声が響く 言葉のないオペラ
『ハウリング・ガールズ』はトラウマをテーマにした、言葉のないオペラだ。
2001年、ワールド・トレード・センターがテロ攻撃を受けた後、5人の痩せた少女が別々にマンハッタンの病院を訪れた。少女たちはタワーの崩壊によって建物や死体の破片が喉に詰まったために呑み込むことができない、と訴えた。喉には収縮が見られたものの、ついに「破片」は発見されなかった―。
本作の出発点には、この消化しきれないトラウマを負った少女たちのイメージ、そして「ヒステリー」の歴史がある。言葉にならない声を発する女性たちの「ヒステリー」の症状は、フェミニスト的視点では、家父長的制度による抑圧が身体化されたものと考えられている。
本作では、そのように身体化された集団的トラウマが、一人のソプラノ歌手とコーラスの発する声、そしてテルミンや電子音楽の伴奏を通じ、直接私たちの身体に語りかけ、やがて浄化 (カタルシス) をもたらす。原始的であると同時に未来的でもある奇妙な空間が、言葉とジェンダーの新たな可能性を想像させてくれるだろう。
第一部:喚問(上演時間36分)
第二部:妨害(上演時間2分)
第三部:唸り(上演時間8分)
第四部:壊れた旋律(上演時間17分)
演出 | アディナ・ジェイコブス、ダミエン・リケットソン |
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推薦人 | スティーブン・アームストロング (アジアTOPA クリエイティブディレクター/アーツセンター・メルボルン│オーストラリア) |
推薦理由 | 「私たち全員の未来が加速度的に近づいてくるにつれ、私たちの惑星の踏みにじられてきたあえぎ声が耳につく。 このトラウマを通して、私たちは何千年もの間否認され沈黙を強いられてきた女性たちの合唱を聞くのだ。そして家父長制による否認の語りが空虚な暗闇のような吐息を吐き出し、息を引き取っていく。」 |
シドニー・チェンバー・オペラ(SCO)
シドニー・キャリッジワークスを拠点とし、現代オペラ界へ新しい風を吹き込むオペラ・カンパニー。2010年にジャック・シモンズとルイス・ギャリックによって設立されて以来、オーストラリアの音楽・演劇界で異彩を放つ重要な存在として知られるようになる。芸術監督ジャック・シモンズが手掛ける革新的なプログラムは、練り上げられた緻密な音楽性や観客の心をつかむ演出によって批評家たちからも賞賛を受け続け、エネルギッシュな作風により、これまでオペラに馴染みの薄かった若い聴衆の共感も得ている。20世紀・21世紀の作曲家による作品を毎年手がけるとともに、オーストラリア人作曲家の作品や、海外の新作のオーストラリア初演も積極的に行っている。また、劇場以外の場所で歌曲集やカンタータを上演したり、オーストラリアの最も先鋭的な演出家と組んで古典となった作品を現代風にアレンジする取り組みも行っている。SCOの作品はシドニー・フェスティバルでは5回プログラムされ、シドニー・ビエンナーレ、メルボルン・フェスティバル、ダークMOFOにも招聘されている。また、ヴィクトリアン・オペラ、オペラ・クイーンズランド、キャリッジワークスとも共同制作を行っている。
http://sydneychamberopera.com/
アディナ・ジェイコブス
オーストラリア国内の様々な演劇祭などで、ここ10年来、特筆すべき数々の作品を手がけてきた気鋭の演出家。ビクトリア芸術大学・メルボルン大学を卒業。2012年にはモルトハウス劇場のレジデント演出家となり、2014年・15年にはベルヴォア劇団(シドニー)のレジデント演出家をつとめた。また、メルボルンにあるフロート・アウトフィット劇団の芸術監督でもある。
現在まで、サリハラ劇場(ジャカルタ)、エスプラネード劇場(シンガポール)、アジアTOPA(メルボルン)、ベル・シェイクスピア、メルボルン劇団、シドニー・チェンバー・オペラ、メルボルン国際芸術祭、モルトハウス劇場、ヴェルヴォア劇団、ダークMOFO、チャンキー・ムーブなどで作品を発表。
2018年にはイングリッシュ・ナショナル・オペラによるシュトラウス『サロメ』を演出、国際的デビューを果たす。ジョージ・フェアファックス・メモリアル賞受賞、メルボルン・フェスティバル・ハロルド・ミッチェル奨学金、シドニー・マイヤー・キャパシティ・ビルディング助成金を受給。
ダミアン・リケットソン
オーストラリア・シドニー在住の作曲家。カラフルで五感を刺激するサウンドとストーリー性を持った音楽世界で知られる。オランダの作曲家ルイ・アンドリーセンに師事。シドニー音楽院より博士号を取得。マルチメディア作品「フラクチャード・アゲイン」(2010年)はシドニー・フェスティバルでプレミア上演され、中国公演も実施された。音楽とダンスを融合させた「シークレット・ノイズ」(2014年)はメルボルン・フェスティバルで上演され、2015年アートミュージック・アワード「インストルメンタル・ワーク・オブ・ザ・イヤー」を受賞。
挑戦的な音楽を生み出す芸術団体アンサンブル・オフスプリングの共同創設者であり、共同芸術監督を20年間つとめた。現在は、シドニー大学のシドニー音楽院において、作曲プログラム、音響技術プログラムのリーダーを務めている。
作品クレジット
作曲 | ダミアン・リケットソン |
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演出 | アディナ・ジェイコブス |
音楽監督 | テルミン:ジャック・シモンズ |
舞台美術・衣装 | ユージーン・テー |
照明プラン | ジェニー・ヘクター |
共同製作 | 韓国国立現代美術館(ソウル)、ミン現代美術館(上海)、SPIELARTフェスティバル(ミュンヘン) |
音響プラン | ボブ・スコット |
ソプラノ | ジェーン・シェルドン |
コーラス | グレース・キャンベル、キッツ・ホイン、キリ・イェンセン、エミリー・ピンコック、ジェイデン・セルバクマラスワミ、シルヴィー・ウッドハウス (The House Dan Built) |
舞台監督・音楽監督助手 | ヒュー・ベイリング |
プロダクションマネージャー | ラング・クレイグヒル |
演出 (The House Dan Built) | ダニエル・オキーフ |
演出助手 | ダニエル・マース |
*本作は2018年3,4月にシドニー・チェンバー・オペラとキャリッジワークスとの共同製作により初演。
オーストラリア政府、アーツカウンシル・オーストラリアに支援を受けています。
上演スケジュール
日時:10月31日 (木) 14:00 / 18:00
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
※受付開始・開場は開演の40分前/字幕なし/上演時間:約60分 (休憩なし)
『可能性は風景の前で姿を消す』
“La posibilidad que desaparece frente al paisaje(Possibilities that disappear before a landscape)”
【ヨーロッパ】エル・コンデ・デ・トレフィエル/El Conde de Torrefiel (バルセロナ、スペイン)
流れ去る歴史、出来事、人生を背に。 「日常」と「娯楽」から、社会と個人の関係を鋭く問う。
ベルリンのホロコースト記念碑の前で、裸で横たわる男たち・・・彼らは何を期待してそこに集まったのだろうか?
『可能性は風景の前で姿を消す』は読み、観察するための演劇作品だ。何もない空間で、10のヨーロッパの都市を舞台にした断片的な物語が、スクリーン上の文字とナレーションで語られていく。そこに4人のパフォーマーが現れ、時として語られる物語とは大して関係のなさそうなことを、楽しそうに、あるいはつまらなそうにやっている。エル・コンデ・デ・トレフィエルは、今日の社会を覆っている「娯楽」は新たな形の全体主義だという。全ての瞬間を「楽しむ」ことが強迫観念のようになるなかで、かつてあった「歴史」や「人生」や「出来事」の可能性も、気がつくと消え去っていく。あたかも自然が人間の行為の爪痕をいつの間にか覆い隠していくように。
演出・ドラマトゥルク | タニヤ・バイエラー、パブロ・ヒスベルト |
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作 | パブロ・ヒスベルト |
推薦人 | アニエス・トロリー (アヴィニョン演劇祭プログラムディレクター│フランス) |
推薦理由 | 「今日のヨーロッパのリアリティに深く根ざしたエル・コンデ・デ・トレフィエルの作品は、21世紀のアクチュアリティーを個人的なものと政治的なものの関係から提示しています。革新的な形式なのに、全く難しい感じはしません。 彼らは自分たちがアーティストとして、また市民として悩んでいる問いを舞台に上げていきます。私は誰なのか。私はどこにいるのか。私は何をしているのか。芸術は必要なのか。あらゆることに、最悪のことすら、私たちは慣れてしまうものなのか。」 |
エル・コンデ・デ・トレフィエル
エル・コンデ・デ・トレフィエルは、タニヤ・バイエラーとパブロ・ヒスベルトによるバルセロナを拠点としたプロジェクト。文学とビジュアルアーツやダンスとを行き来することで、言語による制限を乗り越えることを目指している。そして二人は演劇作家、ミュージシャン、ビデオ作家として、私たちの時代に存在するかもしれない様々な「現在」の分析から出発して、はかない時間を生きる我々の切迫感を実感させる作品を生み出している。
エル・コンデ・デ・トレフィエルは問いかける。物事の意味は言語や概念、イメージやそれと結びついた象徴作用によって定義されているが、私たちが論理と呼ぶものは、そういったものにどれくらい依存しているのだろうか。
この問いかけから生まれた近年の作品は、全て21世紀における個人的なものと政治的なものの関係に焦点を当てている。より正確にはそこで、新たな形の全体主義と知的疎外、そして責任という意識と個人の自由との関係性が問われているのである。
https://www.facebook.com/condedetorrefiel/
タニヤ・バイエラー
1980年スイス・ルガーノ生まれ。20歳の時にスペインへ移住し、演劇の学士号を取得。当初は台詞劇の俳優として活躍していたが、徐々にダンスやパフォーマンスへとシフトしていく。ドラマトゥルギーと人文科学をバルセロナで学び、2008年より、振付家マルコス・モラウのダンスカンパニー「ラ・ベロナル」に参加。2010年よりパブロ・ヒスベルトと組み、エル・コンデ・デ・トレフィエルとして作品を発表。ドラマトゥルクとしても、マルコス・モラウ、ユージェニー・ルヴェテズ、オラツ・デ・アンドレスや、ビック・バウンサーズの一員として、スペインやスイスでダンスプロジェクトに携わっている。
パブロ・ヒスベルト
1982年スペイン・オンティニエント生まれ。バレンシア大学で哲学を学ぶ。マドリッドでドラマトゥルギーを学んだ後、2011年バルセロナ演劇学院よりドラマトゥルギーの学位を取得。同年、戯曲「映画館が燃え、10人が燃えた」に対してマルケス・デ・ブラドミン賞を受賞。2005年より、ダンスカンパニー「ラ・ベロナル」のドラマトゥルクを務め、先進的な演劇活動に対して、セバスティア・グアスク賞を受賞。2013年には汎ヨーロッパの劇作プラットフォームであるファブラムンディに選出。2010年より、タニヤ・バイエラーと組み、エル・コンデ・デ・トレフィエルとして創作を開始。彼がこれまでに同プロジェクトに執筆したテクストは『ミエルダ・ボニータ(美しき糞)』という題で出版されている。2017年には最新2作品の仏訳が出版された。
作品クレジット
構想・考案 | エル・コンデ・デ・トレフィエルと出演者との共同制作 |
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演出・ドラマトゥルク | タニヤ・バイエラー、パブロ・ヒスベルト |
作 | パブロ・ヒスベルト |
照明 | オクタビオ・マス |
セノグラフィー | ホルヘ・サルセド |
音楽 | レベッカ・プラガ、サラコット |
音響デザイン | アドルフォ・ガルシア |
振付 | アマランタ・ベラルデ |
ツアーテクニカルディレクター | イサアク・トーレス |
出演 | ニコラス・カルバハル・チェルキ、 ダビ・マリョルス、ニコラ・シュバリエ、アルベルト・ペレス・イダルゴ |
声の出演 | タニア・ベイェレル |
翻訳 | ニカ・ブレザー(英語)、古屋雄一郎(日本語) |
共同製作 | テラッサTNT舞台芸術祭、グラネル創造空間(バルセロナ)、エル・ルガール・シン・リミテス企画、プラディーリョ劇場、スペイン国立演劇センター(マドリード) |
支援・助成 | プログラマ・イベレセーナ財団、ラ・フンディシオン劇場(ビルバオ)、アンティック劇場(バルセロナ)、カタルーニャ文化事業協会(カタルーニャ州政府)、ラモン・リュイ協会、スペイン国立舞台芸術音楽協会(文化スポーツ省) |
上演スケジュール
日時:10月30日 (水) 14:00 / 18:00
会場:東京芸術劇場 シアターイースト
※受付開始・開場は開演の40分前/上演言語:スペイン語 (日本語・英語字幕つき)/上演時間:約70分 (休憩なし)
『たびたび罪を犯しました』
“Mea Culpa”
【アフリカ】
シャルル・ノムウェンデ・ティアンドルベオゴ/Charles Nomwendé Tiendrebéogo (ワガドゥグ、ブルキナファソ)
「仮面」を通じて蘇る、運命を逆転させたい亡霊たち アフリカの文化の根源と現代をつなぐフィジカル・シアター
多少なりともマシな生活を夢見る墓守。墓場で死者を呼び出す儀式を行うと、さまざまな霊が彼に取り憑いてくる。霊たちはみな、地上にいたときには大きな影響力を持つ人物だったらしい。汚職、血塗られた権力闘争、ジェノサイド……野心と物欲に導かれ、それぞれに悪事を働いた霊たちは、墓守の体を借りて生前の汚名を返上しようとする。現代アフリカの病理をえぐり出す一人芝居。
コンセプト・演出・舞台美術・キャスティング・ドラマトゥルク | シャルル・ノムウェンデ・ティアンドルベオゴ |
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推薦人 | キラ・クロード・ガンガネ(ワガドゥグ国際演劇・人形劇祭ディレクター│ブルキナファソ) |
推薦理由 | 「シャルル・ノムウェンデ・ティアンドルベオゴは、ローカルな文化に根ざした独自のスタイルによってすぐに頭角を現しました。とりわけブルキナファソの仮面の使い方を学び、独特な形で自分の作品に活かしてきました。今ではフィジカルシアターと仮面の使用が、彼が世界を語る際に好んで用いる手法になっています。ブルキナファソでも期待されているアーティストです。」 |
シャルル・ノムウェンデ・ティアンドルベオゴ
スイスのディミトリ演劇学校でフィジカルシアターを学び、演劇学の修士号を取得。「アフリカの仮面をいかにして演劇に利用するか」というテーマを探求してきた。2017年の研究発表に続き、2018年6月にその実践として一人芝居『たびたび罪を犯しました』を上演。
近代的な教育システムや新たな宗教の流入により危機に瀕しているアフリカの文化遺産を、演劇の手法を用いて支えることができないか、試行錯誤をつづけている。
http://www.nomwendecharlestiendredrebeogo.ch
作品クレジット
コンセプト・演出・舞台美術・キャスティング・ドラマトゥルク | シャルル・ノムウェンデ・ティアンドルベオゴ |
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マスク製作 | コレット・ロワ |
アーティスティックコラボレーション | アナ・クーフ |
音楽 | エリア・モレッティ |
照明デザイン | クリストフ・ジーゲンターラー |
マスク製作協力 | エアハルト・シュティーフェル |
字幕翻訳 | 齋藤 啓 |
上演スケジュール
日時:10月30日 (水) 15:30 / 19:30
会場:東京芸術劇場 シアターウエスト
※受付開始・開場は開演の40分前
上演言語:英語 (日本語字幕つき)
上演時間:約70分 (休憩なし)
『汝、愛せよ』
“Tú Amarás (You Shall Love)”
【アメリカ】
ボノボ/Bonobo (サンティアゴ、チリ)
地球外生命体がやってきたー 「差別」を考える医師たちの、ブラックユーモアあふれるディスカッション
チリの医師たちが国際学会でのパネルディスカッションを準備している。テーマは「いかにして差別を克服するか」。近年、数多くの地球外生命体アメニタスが難民として地球にやってきたが、彼らに差別的な扱いをする医師も少なくないという。暴力はなぜ生まれるのか。「他者」を愛することは果たして可能なのか。集団創作のなかで深められた問いが、ユーモアとアイロニーと切実さを込めて私たちに投げかけられる。
作 | パブロ・マンジ |
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演出 | アンドレイーナ・オリバリ、パブロ・マンジ |
推薦人 | カルメン・ロメロ・ケロ (サンティアゴ・ア・ミル・フェスティバル エグゼクティブ・ディレクター│チリ) |
推薦理由 | 「不寛容、暴力、人種差別、ホモフォビア・・・これらの(チリ、アメリカ大陸、そして世界全体で今懸念されている)テーマが、ボノボの主要な関心事だ。このインディペンデント・コレクティヴの若手劇作家パブロ・マンジによるドラマトゥルギーは、ステージ上ではめまぐるしいエネルギーを見せつけながら、深い社会的考察を生んでいく。」 |
ボノボ
パブロ・マンシとアンドレイーナ・オリバリによって2012年に設立。観客の批判精神を触発するような先鋭的な作品づくりを主眼に置く。リサーチとインプロビゼーション(即興)を重視し、全てのメンバーが主体的に関わる集団創作の手法を取り入れた作品群で、チリ演劇界でもっとも有名な若手グループの一つとなった。
これまでに『飼いならす』(2013年)、『野蛮人たちの住むところ』(2015年)、そして『汝、愛せよ』(2018年)の3作品を上演。ドイツ、ベルギー(クンステン・フェスティバル・デザール)、オランダ、スペイン、イタリア、メキシコ、ブラジル、ペルー、チリ(サンティアゴ・ア・ミル・フェスティバル)のフェスティバルに参加し、好評を博してきた。
https://www.facebook.com/bonoboteatro/
アンドレイーナ・オリバリ/パブロ・マンシ
2012年にチリで劇団ボノボを創立。共同ディレクターとして全作品を共同演出してきた。
パブロ・マンシはアカデミア・クラブ・デ・テアトロで演技を学んだ後、俳優として児童青少年演劇の劇団ラ・マラ・クラセ(「悪い教室」)に参加。劇作家としては、『野蛮人たちの住むところ』でサンティアゴ市より最優秀劇作賞を受賞。2017年には、ロンドンのロイヤル・コート・シアターで滞在制作を行い、『ファイト・アゲインスト』を執筆。2020年に同劇場で初演の予定。
アンドレイーナ・オリバリは、ラテンアメリカ文学で学士号を取得するとともに、同じくアカデミア・クラブ・デ・テアトロにて学んだ。俳優、ドラマトゥルク、教育者として活動するかたわら、チリの劇作家イシドラ・アギレに関する演劇リサーチプロジェクトを展開している。
作品クレジット
作 | パブロ・マンジ |
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演出 | アンドレイーナ・オリバリ、パブロ・マンジ |
出演 | ガブリエル・カニャス、カルロス・ドノソ、パウリーナ・ヒグリオ、ギレルメ・セプルベダ、ガブリエル・ウルスーア |
デザイン | フェリペ・オリバレス、フアン・アンドレス・リベラ |
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技術監督 | ラウル・ドノソ |
プロデューサー | オラシオ・ペレス |
字幕翻訳 | 古屋雄一郎 |
共同製作 | Espacio Checoslovaquia、テアトロ・ア・ミル基金 |
上演スケジュール
日時:11月2日 (土) 14:00 / 18:00
会場:東京芸術劇場 シアターウエスト
※受付開始・開場は開演の40分前
上演言語:スペイン語 (日本語、英語字幕つき)
上演時間:約75分 (休憩なし)
ⓒTAKE nob
『ソコナイ図』
“Sokonaizu-Bottomless”
【日本】dracom(大阪、日本)
おかしみのある声とぼんやりした絶望の時間が 悲劇のソコから抜け落ちる
年末か年始。二人の姉妹がじっと部屋で横になっている。二人は、突然亡くなった両親が残した資産にかかる相続税が原因で、生活に困窮している。妹は、じっとしている姉が死んでいるのを知るのが怖くて声をかけられないまま、やはりじっとしている。
タイトル『ソコナイ図』は、「損なう」と「底が無い」をかけた言葉に、その「図」(=姿や形が表現されたもの)を添えたもの。「都市で餓死は可能か」が主題となっている。そこはかとない絶望を描くおかしみのある悲劇。
作・演出 | 筒井潤 |
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推薦人 | 横山義志 (東京芸術祭国際事業ディレクター│日本) |
推薦理由 | 「弱さに寄りそうこと。それをここまで徹底した作品には出会ったことがありません。この作品は強い意志をもつ人が誰一人いない世界で、日々淡々と起きつづけている悲劇があるということに気づかせてくれます。そしてここには、「表現」と呼ばれるものを磨いてきた近代の舞台芸術によって切り捨てられてきたものがあるような気がしています。」 |
dracom
大阪を拠点とする公演芸術集団。関西弁のアクセントをベースとしたユニークな発語と独特な間合いでユーモアや緊張を生み出す演出には定評がある。2度のウイングフィールド再演大博覧会の他、演劇計画2004、2007、おおがきビエンナーレ2006、TPAM2008、精華演劇祭vol.12、フェスティバル/トーキョー2010、Sound Live Tokyo 2014、Nippon Performance Night(2017年、デュッセルドルフ)等に参加。
http://dracom-pag.org/
筒井潤
演出家、劇作家。dracomリーダー。2007年京都芸術センター舞台芸術賞受賞。2014~16年セゾン文化財団シニアフェロー。dracomの活動の他、過去には桃園会、『Silent Seeing Toyooka』(城崎国際アートセンター)、『滲むライフ』(DANCE BOX)、京都造形芸術大学舞台芸術研究センター主催『破壊の子ら』等で演出。TPAM2016アジアン・アーティスト・インタビューではインタビュアーを務める。また、山下残振付作品、マレビトの会、KIKIKIKIKIKI、維新派、akakilike、悪魔のしるし等の公演に参加。ジャンルや様式、場所にこだわらず精力的に活動している。
作品クレジット
作・演出 | 筒井潤 |
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出演 | 稲葉俊、大江雅子、神藤恭平、高山玲子、電電虫子、松㟢佑一 |
舞台監督 | 浜村修司 |
照明 | 吉本有輝子 (真昼) |
照明操作 | 吉田一弥 (真昼) |
音響 | 佐藤武紀 |
制作補佐 | 阪田愛子 ( (同) 尾崎商店) |
字幕翻訳 | 新井知行 |
上演スケジュール
日時:11月2日 (土) 19:30
11月3日 (日祝) 13:00
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
※受付開始・開場は開演の40分前
上演言語:日本語 (英語字幕つき)
上演時間:約110分 (休憩なし)
上演スケジュール
11月4日(月・休) 10:00-15:00 審査会① / 審査会② について
東京芸術祭ワールドコンペティションでは、世界の第一線で活躍するアーティストや批評家たちが参加作品を公開で審査します。
どなたでも、入場無料・予約なしで入場可能(先着順)です。
審査会① アーティスト審査会
世界各地域で舞台芸術の新たな価値観を提示してきたアーティストたちが、「最優秀作品賞」「最優秀パフォーマー賞」「最優秀スタッフ賞」を選出します。
審査会② 批評家審査会
舞台芸術に造詣が深く、日本語を話す世界各地域出身の専門家たちが「批評家賞」を選出します。